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瓦は最も古く伝統的な屋根材であり、そして、既存住宅でもっとも多く使われています。安価で大量生産ができるスレート(コロニアル・カラーベスト)が登場する1980年代前半までは屋根材市場の過半を占めていました。スレートからアスベストを取り除いたことで、スレートのもろさが問題となり、1990年代前半には再びシェアナンバーワンになります。しかし、1995年に阪神・淡路大震災、2019年に令和元年台風などの相次ぐ瓦の被災によって、瓦に対するイメージが悪化し、現在、瓦の流通量は下落傾向です。
特に現在は瓦の張り方が問題として取り上げられることが多いです。従来の瓦の張り方はで地震や強風で崩れやすい張り方であり、2021年には瓦を強固に張る方法(ガイドライン工法)が義務化されます。急減する瓦の需要を挽回すべく、瓦製造業界ではの軽量防災瓦開発などの取組みが進んでいます。
このページでは、瓦の様々な種類について説明いたします。
陶器瓦は、粘土瓦の一種です。粘土を瓦の形に成型し、そこに釉薬(うわ薬)を掛け、窯の中で高温にして焼き上げた瓦のことを陶器瓦といいます。また釉薬(ゆうやく)をかけるので、釉薬瓦とも呼ばれます。主な特徴としては、
・古代の陶器があちこちから発掘されていることからも分かるように、陶器製であるということは、強い衝撃が加わらない限り、その寿命は半永久的です。
・瓦の表面にある釉薬がガラス質になっているため、水を弾きますので、浸透することがありません。長い年月を経ても、美しい状態を保つことができ、メンテナンスの必要性はほとんどありません。
・釉薬を変化させることにより、色を自在に変更することができます。専門の瓦工房では、65色以上から選ぶことができます。
いぶし瓦は「燻(いぶ)された」瓦です。高温で瓦を焼き上げた後に空気を遮断し、蒸し焼きにすることで、独特の輝きをもつ銀色になります。
中まで色がついているため、多少の欠けがあっても目立たないでしょう。耐用年数は30~50年となっています。陶器瓦に比べ、いぶし瓦は釉薬をつかわないで仕上げをします。そのため、耐久性は陶器瓦よりも若干弱い印象があります。主な特徴としては、
・粘土瓦全般に言えるメリットになりますが、何よりもメンテナンスフリーである。
・経年で表面の炭素膜が剥がれるという変化はありますが、それもまた日本の建物にとてもよく合うと言われています。
・遮音性の高さや燃えにくさ(難燃性)は屋根材としてとても優秀と言えます。
・釉薬瓦のように表面にガラス層がないことから、若干ではありますが凍害や塩害に弱い可能性があります。
セメントを固めて瓦のようなフォルムに仕上げた屋根材です。1980年代から90年代に流通した屋根材が対象となります。セメントが主成分なので、基材は灰色です。そのため、表面は着色されています。年月か経過すると「色あせ」します。重量は陶器瓦やいぶし瓦とほぼ同じです。セメント瓦をコンクリート瓦とよぶ人もいます。
陶器瓦の半分の重さで、陶器瓦よりも割れにくい特徴があります。
施工方法はガイドライン工法に沿っており、耐風性にも優れた工事ができる屋根材です。
意匠も瓦のような厳か雰囲気があるため、最近、人気が高まっています。
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